クレーム対応が得意な人から学ぶ!【クレーム対応スキルの身につけ方】
クレームに頭が痛い…
クレームで毎日が憂鬱…
クレームに困っている人はあなただけではありません。
クレーム対応は難しいと感じるかもしれませんが、クレーム対応はスキルです。ですので、当然誰でも身につけることはできます。
私も公務員時代には実に多くのクレーム対応をしてきました。
公務員の現場がなじみがなく、わからないかもしれませんが、公務員へのクレームは特に厳しいんです。昼休み中に「職員がコンビニの前でアイスクリームを食べている」、横断歩道のない車道なのに「職員が道路を横切った」なんてクレームもあるほどです。
私の場合は、そんな数々のクレーム対応の実践を通して、スキルを身につけることができました。
そんな私の経験から結論を言うと、クレーム対応スキルの習得方法については「得意な人から学ぶ」のが一番です。得意な人は、冷静沈着で、真摯な態度で信頼度も高い。
この記事では、クレーム対応が得意な人が持つ特徴を整理し、実際にどのようにスキルを習得していけばいいのかについて解説していきます。
この記事は、クレーム対応に悩むあなたに書いています。ぜひ最後までご覧ください。
そもそも「怒り」とは?
クレームには怒りが伴いますが、そもそも怒りの感情は、二次的な感情表現です。その怒りのもととなった一次感情が存在し、その一次感情の表現方法が怒りなんです。
あなたも待ち合わせ時間に送れた相手のことを心配して、
遅れるなら連絡しろよ!
と怒りを感じたことはありませんか?
この場合は「心配」という一次感情を表現するのに「怒り」を使っているということです。
クレームという行動について言うと、相手の一次感情は、悲しい、不安、苦しい、心配、後悔、困惑、恐怖など。
このようなクレームの本音の部分は、怒りという殻を被っているんです。
クレーム対応に困る理由とは?
クレーム対応に困る主な理由とは、次の3つがあります。
- 相手の怒りが怖い
- 着地点が見えない
- 自分の力だけでは解決できない
それぞれを具体的に解説します。
相手の怒りが怖い
いきなり相手から文句や不満をぶつけられたら面くらいますよね。そして、相手が攻撃的であれば、さらにパニックになって、思考停止になります。
そもそも「相手の怒りが怖い」と感じる理由は、自分の身を守ろうとする本能です。
というのも、怒りというのは興奮状態ですので、交感神経が優位となり、相手が攻撃的になっている可能性があります。それを本能的に感じ、「身を守らなければ」という信号が怖いという感情です。
相手の怒りに対して怖いと感じることは、むしろ当たり前の反応なんです。
着地点が見えない
そのクレームがいつまで続くのか、どのように対応すればいいのかが分からない場合、不安を感じてしまいます。
というのも、人には不確実性理論というココロのクセがあり、先が見えないことに不安を感じるようにできているからです。
先が見えない不安、それがクレーム対応に強い負担感を感じさせるのです。
自分の力だけでは解決できない
クレームの内容や問題の大きさによっては、自分の力だけでは解決することができません。そのため、自己効力感が低くなり、自信が持てない状態となります。
自分の力でも解決できるクレームももちろんありますが、自分の力だけでは解決できず、問題が大きくなってしまう場合もあります。
あなたも「クレームが入ってる」と言われたときには身構えてしまいますよね?
クレームという言葉を聞くと気が重たくなる要因の1つは、自己効力感が低くなることが予見できてしまうことなんです。
クレーム対応で絶対に避けるべき行動
クレーム対応は、その対応方法によってはさらにクレームがエスカレートしたり、新たなクレームにつながる可能性があります。
そのため、クレーム対応中に次の行為は特に厳禁です。
- 相手の意見に対して否定・反論する
- 話を途中でさえぎる
- 長時間待たせる・たらい回し
- すべての要求を受け入れない
その内容について具体的に解説します。
相手の意見に対して否定・反論する
クレームを伝えてくる相手の意見を否定したり、反論したりすると、その人の怒りを増幅させ、クレームがさらにエスカレートする可能性があります。
まずは、相手の言い分をしっかりと聞き、理解を示すことが重要です。
話を途中でさえぎる
相手の話を途中でさえぎると、相手の感情を刺激し、さらなる怒りを呼び起こします。
クレームの内容が相手の勘違いだった場合でも、話を途中でさえぎるようなことをせず、最後まで聞くようにしましょう。
長時間待たせる・たらい回し
クレーム対応では、迅速な対応が求められます。その理由は、クレームを重く受け止めている姿勢を示し、相手を尊重していることをあらわすためです。
長時間待たせたり、たらい回しにすることは、相手を尊重する姿勢と真逆の行為ですので、二次的なクレームにつながります。
すべての要求を受け入れない
クレームの中には悪質なクレームも存在します。
悪質なクレームとは、慰謝料や賠償品などと言って金銭を要求してきたり、不当な内容の念書などを要求してきたりする相手のことです。
悪質なクレームを受け入れてしまうと、またすぐに金銭の要求をしてきたり、次々と別の要求してきたりしますので、決して受け入れてはいけません。
クレーム対応が得意な人の特徴
クレーム対応が得意な人は、ここまで解説したNG行為を絶対に行いません。
私の経験上、クレーム対応が得意な人は次に当てはまる人です。
- 常に冷静沈着
- 真摯な態度を見せられる
- 相手の立場に寄せていく
- あいづちが上手い
次に、それぞれを具体的に解説します。
常に冷静沈着
冷静さを失うことにより、対応を誤り、さらなるクレームに発展することがあります。
また、相手の一次感情を理解するためにも冷静沈着な対応が必要となります。
クレーム対応に困る理由として「怒りに対する恐怖」があり、それが思考停止やパニックの原因になります。クレーム対応が得意な人は「クレーム対応により命が危険になるわけではない」ことを多くの経験から学んでいるので、冷静沈着に対応できるのです。
真摯な態度
クレームを伝えてくる相手は、「自分は正当である」と考えています。
そのため、相手を尊重していることを示す態度は話を進めていく上でも必須です。
また、真摯な態度によりクレーム解決を図ると、のちの信頼関係につながります。
クレーム対応が得意な人は、真摯な態度により、クレーマーをお得意様に変えていきます。
相手の立場に寄せていく
クレームの相手と面と向かって対峙すると、怒りや批判などの圧力をすべて受けてしまいます。
ですので、クレーム対応では対面から寄り添う立場へ徐々にシフトさせていきますが、クレーム対応が得意な人は、このような場面で「共感」をうまく使います。
「〇〇について、ご心配のお気持ち、大変よくわかりました。」
「〇〇について、ご心配いただいた上でお伝えいただいたということですね。」
また、クレーム対応が得意な人は、怒りという二次感情ではなく、一次感情への共感を示すのが上手です。
また、クレーム対応が得意な人は、相手の立場からも事情を理解しようとします。これにより、相手のクレームの対象が商品やサービスに向くようになります。
あいづちが上手い
相手は言いたいことのすべてを話したら、落ち着きを取り戻します。
そして、言いたいことをすべて話すことができる環境をつくるのが、あいづちです。あいづちがうまくできると、相手が話しているうちに勝手に納得してく場面もよくあります。
「そうだったんですか」
「おっしゃるとおりです」
「お気持ち、お察しします」
「ご不便をおかけして申し訳ございません」
クレーム対応が得意な人は、あいづちが上手いので、相手が言いたいことをすべて話すことができます。それにより、一次感情を引き出したり、客観的に考えるきっかけをつくることができます。
着地点を探りながら対応する
クレーム対応が得意な人は、クレーム対応中に適切な着地点を探っていきます。
クレーム対応が得意な人は、相手のクレームの一次感情を理解するとともに、具体的な事実を明らかにしていき、問題の本質を探していきます。そして、相手と折り合う着地点について、理論的に説明し、合意を得ることができます。
【得意な人から学ぶ】クレーム対応スキルの身につけ方
クレーム対応スキルとは、クレーム対応が得意な人が持つ特徴や行っていることを技術として落とし込んだものです。
クレーム対応のスキルを身につけるために必要なことは、次の4つです。
- 話を聞くクセをつける
- 事前に準備をしておく
- クレーム対応がうまい人をマネする
- 場数を踏む
次にそれぞれ具体的に解説します。
話を聞くクセをつける
友人や職場の同僚との普段の会話で、あなたのことばかり話すような会話になっていませんか?
人の話を聞くスキルを身につけるために、「相手の話を聞く」ということを普段の会話から意識的に行いましょう。
そして、相手の話を聞くときに意識するポイントは以下のとおりです。
- 相手の話を肯定する
- いろんなあいづちをうつ
- 自分の話したいことを我慢する
- 相手を観察する
- 相手のペースにあわせる
- オウム返しも入れてみる
こちらは、「ミラーリング」や「ペーシング」など信頼関係を築くために有効な心理学的テクニックが基になっています。これは、クレーム対応だけでなく、同僚と信頼関係を築いたり、異性と関係性を深める際にも有効なので、ぜひ日ごろから実践するようにしてください。
事前に準備をしておく
事前に準備しておくと、冷静沈着な態度でクレーム対応に臨むことができます。
具体的な事前の準備としてしておくことは、「商品やサービスについての知識を深めること」と「クレームの種類や対応策を想定すること」です。
クレームには、商品やサービスに関するもの、対応や態度に関するもの、価格に関するものなど、さまざまな種類がありますが、想定されるすべてについて事前準備をしておきましょう。
また、さまざまな種類のクレームを想定し、クレーム対応が得意な人に「〇〇の場合はどう対応されますか?」と聞いておくことも有効です。
クレーム対応がうまい人をマネする
クレーム対応は、ある程度経験がないと上手くなりません。
ですので、クレーム対応が得意な人の対応方法を観察し、その技術や態度を少しずつ自分のものにするようにしましょう。わからないことは直接聞いてみるのもおススメです。
場数を踏む
多くのクレームに対応することで、様々な状況に対応できるようになります。
クレーム対応は、できればやりたくないことではありますが、自分を成長させる糧になります。
また、クレームは商品やサービスの改善点の提案でもあります。多くのクレームに対応するということは、お客様ニーズを多く収集することでもありますので、あなたの経験は商品改良やサービス改善、新商品開発などの場面で必ず生かすことができます。
クレーム対応を前向きに捉え、臨むようにしましょう。
まとめ
この記事では、クレーム対応が得意な人を教科書として、クレーム対応のスキルの身につけ方を解説しました。クレーム対応はスキルですので、そのスキルを身につけることで、困難な状況にも対応できるようになります。
まず、クレーム対応に困る主な理由として、相手の怒りが怖い、着地点が見えない、自分の力だけでは解決できないという3つの要素が挙げられます。
次に、クレーム対応が得意な人の特徴については、「常に冷静沈着」、「真摯な態度」、「相手の立場に寄せていく」、「あいづちが上手い」、「着地点を探りながら対応する」ことです。これらの特徴を理解し、自分自身に取り入れることで、クレーム対応のスキルを向上させることができます。
最後に、クレーム対応スキルの身につけ方について、「話を聞くクセをつける」、「事前に準備をしておく」、「クレーム対応がうまい人をマネする」、「場数を踏む」という4つのステップがあります。これらのステップを踏むことで、クレーム対応のスキルを身につけ、自信を持って対応できるようになります。
クレーム対応に困る理由の中で説明しましたが、「人は先が見えないことに不安を感じる」ものです。この記事を参考に、クレーム対応のやり方を「未知」から「既知」に変えると、「クレーマー」が「ファン」に変わります。ぜひ実践してください。
自己否定をやめて自己肯定感を高める方法は、別の記事で解説していますので、こちらも参考にご覧ください。
「【自分を否定しない】自己否定をやめて自己肯定感を高める7つの方法」