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【心理学の視点から考える!】保育園での虐待はなぜ起こる?

attakai
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最近、静岡県、富山県、千葉県と、様々な地域で次々と保育園での虐待が発覚し、世間をにぎわせています。

私も保育園へ通う子供を持つ親であり、心配な気持ちでニュースを見ていました。

ニュースでは、様々な報道がなされ、原因分析が行われています。
人員不足、過酷な労働環境、倫理観の欠如、園長のマネジメント能力の不足…

あなたの所属する組織は大丈夫ですか?

「わたしの職場は保育園じゃないんで…」
と考えたかもしれませんが、ちょっと待ってください!

少ない人数で業務に追われる職場、忙しさのあまり後回しになる人材育成など、どこの職場も抱える問題ですよね。

ここでは、心理学脳科学の見地からニュースとは違った視点で原因分析を行い、問題発生を未然に防ぐ方法を考察します。

保育園だけの話じゃなく、あなたの職場でも当てはまるようなことがあったら、それは問題発生のリスクです。
ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

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保育士を取り巻く現状

保育園は、子どもたちが健やかに成長するために必要な教育やケアを提供する施設です。
しかし、保育園には様々な課題があり、その中でも人手不足保育士のストレスなどが大きな問題となっています。

保育士の人手不足

直近の令和4年10月の保育士の有効求人倍率は2.49倍(対前年同月比で0.17ポイント下落)となっているが、
全職種平均の1.35倍(対前年同月比で0.19ポイント上昇)と比べると、依然高い水準で推移している。

引用:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/001018261.pdf

保育園業界では保育士が慢性的に不足しています。そのため、園を運営していくのに必要な保育士数が最低限しか確保できない施設もあり、一人一人の保育士に負担がかかっている状態であると言えます。

有効求人倍率とは?

有効求人倍率とは、ある求人に対して、どれくらい働きたい人がいるかを示した数値となります。

求人数÷働きたい人有効求人倍率

保育士が抱えるストレス

保育士は、子どもたちに対する責任が大きく、日々の仕事において様々なストレスを抱えています。

保育士の業務は子どもの保育だけでなく、日誌・連絡帳・保護者へのおたより・行事の準備など、保育以外のものも多く、毎日多忙な日々を過ごしています。

また、最近は男性保育士が増えているものの、保育士は現在でも女性の割合が高い職業です。
そのため、人間関係の難しさを感じる保育士も多くなっています。

そして、保護者とのコミュニケーションも…
保育園に通うのが当たり前になりつつある時代の中で、保護者が保育園に求めるハードルも上がっています。そんな中で、保護者とのコミュニケーションやクレーム対応に悩む保育士も少なくありません。

保育園で虐待が起きる原因と対策

保育園で虐待が起きる原因としては、保育園をとりまく現状を背景にして、人員不足、過酷な労働環境、倫理観の欠如、園長のマネジメント能力の不足などが挙げられていますが、ここでは、脳科学と心理学の観点から保育園で虐待が起きる原因を考えます。

慣れ

虐待を行った保育士は、その虐待行為がすっかり慣れてしまった可能性があります。

慣れについては、心理学では、段階的に順応馴化適応と表現します。

  • 順応…同じ刺激に対し、感覚の感度が低下すること
  • 馴化…同じ刺激を長時間与えられることで、その刺激に対して鈍感になること
  • 適応…刺激に対し、かなり長い時間をかけて形態などが変化し、対応すること

慣れの進行としては、一般的に 順応→馴化→適応 という順で反応が進んでいきます。

順応刺激を受けた箇所(受容体)での反応ですので、脳の反応はありませんが、馴化脳の反応になります。そのため、慣れの段階が馴化まで進んでしまった場合、脳では何も感じないので、罪悪感の判断もつかない状態になってしまいます。

そうならないためにも、保育士の虐待は、早期発見早期解決が必須です。
まだ罪悪感が働いている順応の段階で対応しないと、罪悪感や自制心が働かなくなり、より大きな暴力行為に発展する恐れがあります。

集団心理

「赤信号、みんなで渡れば怖くない…」
なんて言葉を昔聞いたことがありますよね。

集団心理とは、人が集まったときに生じる集団特有の心理状態を言います。

集団では、社会的に望ましい行動が促進され、良い方向に作用することがありますが、集団全体として極端な行動を引き起こしたり、良くない方向に進んでしまうこともあります。
また、集団内の価値観やルールに同調圧力が生じ、個人の意見や行動を集団に合わせてしまうことがあります。

事件となった保育園では、虐待に数人の保育士と園長が関与していました。

ここでは集団心理が働き、普段おかしいを思うことが普通のこととなってしまい、虐待を黙認するような職場環境ができてしまっていた可能性があります。

集団は一人の人から作られます。
その一人一人が尊重される心理的安全性が高い職場環境を作り、誤った集団心理が働かない環境を整える必要があります。

心理的安全性とは?

心理的安全性とは、組織のメンバーが不安や恐怖などを感じることなく、安心して発言したり、行動できる環境のことを言います。

女性が大部分を占める職場環境

人の脳の形成には、胎児の段階から分泌される性ホルモンの影響を受けます。

この性ホルモンとは、男性はテストステロン、女性はエストロゲンで、性ホルモンの影響を受けた結果、幼児期の男性は空間把握や数学的推論が高められ、女性は言語の流暢性が高まります。

そして、実験的なコミューン(共同体)で親から切り離され、男女の区分なく生活を行ったキブツの大規模社会実験では、「男性はモノを相手にした仕事、女性はヒトとかかわる仕事を好む」という結果が示されました。
このことは、脳科学的に職業の向き不向きに性差があることが示唆され、人とかかわる保育士という仕事は女性の方がむいていると言えます。

今、保育士に女性が多いのはこのためだと考えられます。
ただし、女性全員がこのような傾向にあてはまるわけではありません。中には男性脳を持つ女性の保育士も存在します。

女性が大部分を占める保育園の職場環境は、女性脳を持つ人でつくられたルールや見えない同調が存在し、男性脳を持つ人には理解できない場合があります。

個人の感覚に依存したルールや決まりは、見直しが必要となります。

匿名性

イギリスのレスター大学で北アイルランドで発生した暴力犯罪行為を分析し、参加者がマスクやフードをつけ、匿名性が高い状況とそうでない状況で被害の大きさを比較すると、匿名性の高さが犯罪の大きさに影響を与えることがわかりました。

これは、自分が誰だかわからない状況では、人は理性を失い、暴力的になる傾向があることを示しています。

デモや犯罪での暴力行為の現場では、マスクやフードで自分を隠し、匿名性が高い状況を作り出しますが、保育園でも保育士が匿名性が高いと感じる状況があります。
というのも、0歳や1歳の子どもというのは、先生を認知しても言葉にできず、表現することができないので、先生は自分が認知されていないものと感じ、先生の中で匿名性が高い状況ができるのです。

そのため、理性を失い、暴力的な行為が起こってしまう可能性があります。

0歳や1歳などの子どもがうまく自分を表現できない年齢のクラスは、保育士が匿名性が高いと感じないように、「周りから見える部屋を保育室にする」、「カメラを設置して録画していることを保育士に伝える」、「複数人の保育士で保育にあたる」などの対応が必要です。

まとめ

保育士の現状

保育士の人手不足により一人一人に負荷がかかっている。
保育士は、業務多忙、職場環境、保護者対応にストレスを抱えている。


保育園で虐待が起きる原因と対策

慣れ
虐待行為が脳の慣れである馴化まで進む前に発見し対応する。

集団心理
一人一人が尊重され、心理的安全性が高い職場環境を作る。

女性が大部分を占める職場環境
女性脳を持つ人でつくられたルールや見えない同調は、男性脳を持つ人には理解できない場合があるため、個人の感覚に依存したルールや決まりは見直しする。

匿名性
子どもがうまく自分を表現できない年齢のクラスは、匿名性を高めないための環境づくりを行う。

さいごに

人手不足などの問題は多くの会社が抱える問題でもあります。
また、今後ますます少子高齢化が進行する日本において、不適切な事例は保育園に限らず、どこでも起こりうるものと考え、今一度職場環境等を見直すことが重要です。

特に心理的安全性の向上はチームの生産性を最大化することができますので、問題の未然防止とあわせて、その視点からも参考にしていただけたらうれしいです!

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ABOUT ME
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atta-kai
認定心理士/元公務員/心理学ブロガー
学生時代に心理学を学び、様々な場面で自らを実験材料にして臨床実験を行いました。
そのときの実験結果やその後出会った「進化心理学」や「脳科学」をもとに、「ココロをうごかす」方法を発信します。
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